人生100年時代と言われる現在、自分らしい最期を迎えるために「終活」を始める方が増えています。
その第一歩として注目されているのが「終活ノート(エンディングノート)」です。
終活ノートには、葬儀やお墓に関する希望、財産やデジタル遺品の情報、そして何より大切な家族へのメッセージなどを記録します。
このノートを作る過程で、自分の人生を振り返り、これからの人生をどう生きていくかを考える良い機会にもなります。
特に、独身の方や子どもがいない夫婦にとって、終活は「自分の想いを誰に託すか」を考える大切な時間。残された財産をどう使うか悩む方もいるのではないでしょうか。
そんな方は、遺贈寄付という選択肢を知っておくと、終活の幅が広がります。
この記事では、終活ノートの書き方から選び方、デジタル終活、そして遺贈寄付についても触れながら、充実した終活のための情報を解説します。
ぜひこの機会に終活ノートで自分らしい人生の締めくくりをデザインしてみましょう。
終活ノート(エンディングノート)とは?
終活ノート(エンディングノート)とは、残りの人生の過ごし方に関する希望や情報を書き留めておくノートのことで、自分の気持ちを整理し、残された家族の負担を軽減するための大切なツールです。
終活ノートには、葬儀やお墓に関する希望、財産やデジタル遺品の情報、家族へのメッセージなど、様々な情報を記録できます。
これらを書き留めておくことで、いざというときに家族がスムーズに手続きを進めることができ、あなたの意思を尊重した対応が可能になります。
また、終活ノートを書く過程で自分の人生を振り返り、棚卸しをすることで、新たな気付きや価値観の発見につながることもあります。
どの年齢にも関わらず今から少しずつ書き進めていくことで、心穏やかに日々を過ごせるはずです。
遺言書との違い
終活ノートと遺言書はどちらも終活において重要な役割を果たしますが、その性質は大きく異なります。
終活ノートは法的な拘束力を持たず、あなたの想いや希望を伝えるためのものです。
一方、遺言書は法的な効力を持つ文書であり、主に財産の相続について、あなたの意思を法的に有効な形で示すために作成します。
終活ノートはあなたの気持ちや考えを伝え、家族とのコミュニケーションを深めるツールとして、遺言書はあなたの意思に基づいた相続を実現するための法的な手段として、それぞれ異なる役割を担っているのです。
終活ノート(エンディングノート)に書くべきこと
終活ノート(エンディングノート)は、あなたの人生の記録であり、大切な人へのメッセージでもあります。
ここでは、後悔しないために書いておくべき必須項目と、自分らしい記録を残すためのヒントを紹介します。
必須項目
終活ノートの最も重要な役割は、あなたの意思を明確にし、残された家族の負担を軽減することです。そのため、以下の項目は必ず書き留めておきましょう。
個人情報
氏名、生年月日、住所、連絡先、本籍、マイナンバーなど、基本的な情報を記載します。
医療・介護について
医療・介護については、延命治療の希望の有無や尊厳死、臓器提供の意思、介護に関する希望、認知症になった場合の対応などを具体的に書きましょう。
例えば、「積極的な延命治療は望まない」「自宅で最期を迎えたい」など、あなたの希望を明確に伝えましょう。
葬儀・お墓について
葬儀の規模や形式(家族葬、一般葬など)、宗教、戒名、お墓の種類や場所、供養方法、散骨の希望など、具体的な希望を書き留めておきましょう。
依頼する葬儀社や菩提寺の情報も役立ちます。
財産について
財産については預貯金口座の番号や金融機関名、不動産、株券、保険、貴金属などの情報に加え、借入金やローンなどの負債情報も必ず記載しましょう。
財産目録を作成しておくと、相続手続きがスムーズになります。
デジタルデータについて
デジタルデータについてはパソコン、スマートフォン、SNSアカウント、オンラインバンキング、ブログ、オンラインゲームアカウント、暗号資産ウォレットなどのID、パスワード、アカウント情報などを記録しましょう。
アクセス方法や解約方法も合わせて記載しておくと、対応がスムーズに行えます。
家族へのメッセージ
感謝の気持ち、今後の家族の幸せを願うメッセージ、子どもや孫へのアドバイスなど、あなたの想いを伝えましょう。
普段はなかなか言えない感謝の言葉も、終活ノートを通して伝えることができます。
自分らしい記録を残すためのヒント
必須項目以外にも、自分らしい記録を残すことで、終活ノートはより豊かなものになります。
自分と向き合い、素直な気持ちで書き進めていきましょう。
人生を彩る出来事
子どもの頃の思い出や学生時代の部活動、社会人になってからの仕事、結婚、出産、旅行など、楽しかった思い出や、乗り越えた困難、人生のターニングポイントなどを記録しましょう。
写真やイラストを添えるのもおすすめです。
大切にしている価値観・信念・座右の銘
あなたが人生で大切にしてきたこと、信じてきたこと、心の支えとなった言葉を書き留めておきましょう。
未来への希望、夢、目標
今後の人生で実現したいこと、かなえたい夢、目標などを書き留めることで、残りの人生で行うべきことが明確になり、より充実したものにできるでしょう。
社会貢献活動への参加経験・支援したい団体
これまでに参加してきた社会貢献活動や、これから支援したいと考えている団体について書き留めておきましょう。
終活ノート(エンディングノート)の種類
終活ノート(エンディングノート)と一口に言っても、書店で販売されているものや無料のテンプレート、スマホアプリまで様々な種類があります。
終活ノートのタイプは、ライフスタイルや好みに合わせて選んで問題ありません。
続いては、終活ノートの種類について紹介します。
手書きの終活ノート
手書きのノートは、自分のペースでじっくりと書き進められるのがメリットです。
自由に書き込みができるスペースが広く、写真やイラストを貼ることもできます。
デジタルの終活ノート
パソコンやスマホで作成・管理できるデジタル終活ノートは、修正や加筆が簡単で、情報量の制限もありません。
また、バックアップを取っておけばデータ消失のリスクも軽減できます。
例えば、GoogleドキュメントやMicrosoftWordは無料で利用できるのがメリットです。
無料テンプレートを活用
インターネット上で無料配布されているテンプレートを利用すれば、手軽に終活ノートを始めることができます。必要に応じて項目を追加・削除するなど、カスタマイズも可能です。
アプリで終活ノート
スマホアプリで終活ノートを管理すれば、いつでもどこでも手軽に記録できます。
また、家族と情報を共有できるアプリもあります。
専門家サポート付き終活ノート作成サービス
行政書士や司法書士などの専門家が、終活ノートの作成をサポートしてくれるサービスもあります。
費用はかかりますが、専門家のアドバイスを受けながら作成できるため、より安心して進めることができます。
手書きとデジタルの併用
手書きとデジタルの併用もおすすめです。手書きのノートで想いをつづり、デジタルツールで情報を効率的に管理することで、両方のメリットを活かすことができます。
例えば、手書きのノートに自分史や家族へのメッセージを書き、デジタルツールで財産情報やデジタル遺品を管理するといった方法も可能です。
現代の終活で忘れてはいけないデジタル終活
デジタル終活とは、デジタルデータやオンラインアカウントを整理し、死後に家族が困らないように備えることです。
パソコン、スマホ、SNSアカウント、オンラインバンキングなど、デジタル遺品の種類は様々です。不要なアカウントは削除し、必要なデータはバックアップを取りましょう。
パスワードは家族に伝えるか、パスワード管理ツールを利用し、適切に管理してください。ツールを使う場合は、アクセス方法を家族に伝えておくことが重要です。
また、暗号資産を保有している場合は、ウォレットの保管場所や秘密鍵の管理方法を家族に必ず伝えてください。
デジタル終活は早めの対策が重要です。適切な準備で、トラブルを防ぎましょう。
終活ノート(エンディングノート)作成後のステップ
終活ノート(エンディングノート)は、書き終えた後が重要です。
ここでは、終活ノートを活用し、安心の未来を築くためのステップを解説します。
家族との共有
終活ノートの存在と保管場所を家族に伝えましょう。
直接話す、手紙を書くなど、状況に合った方法で、あなたの想いを共有することが大切です。
定期的な見直しと更新
ライフステージの変化に合わせて、終活ノートの内容も定期的に見直し、更新しましょう。特に財産情報や連絡先、医療・介護に関する希望は重要です。
生前整理
生きているうちに身の回りの整理整頓を行い、不要な物を処分することで、遺品整理の手間や費用など残された家族の負担を軽減できます。
体力や気力があるうちにじっくりと始めるのがおすすめです。
遺言書との連携
終活ノートには法的な拘束力はありません。
財産分与など、法的に有効な意思表示が必要な場合は、遺言書を作成しましょう。
相続手続き、相続税、遺産分割協議など、基本的な知識を身に付けておくことも大切です。国税庁のWebサイトなどで情報を収集しましょう。
遺贈寄付という選択肢
終活ノートに書き込み、遺言書や財産分与について考えるなかで、自分の財産をどのように活用したいか、という問いが自然と浮かび上がってくるでしょう。
特に、独身の方や子どものいない夫婦にとって、この問いはより深いものかもしれません。
もちろん、家族への相続は大切なことですが、社会全体への貢献を通して未来を明るく照らす、「遺贈寄付」という選択肢もあります。
遺贈寄付とは、遺言によってあなたの財産の一部、あるいは全部を、特定の団体(NPO・NGO法人、公益法人、大学、病院など)や個人に無償で譲与することです。
あなたの死後、あなたの意思に基づいて実行されます。
寄付先は、あなたが関心を持っている団体や、支援したいと考えている団体など、自由に選ぶことができます。
例えば、子どもの貧困問題解決に取り組む団体、医療研究を支援する団体、環境保護活動を行う団体、動物愛護団体、あるいは、あなたの故郷の町おこしに貢献する団体など、様々な分野の団体が遺贈寄付を受け付けています。
遺贈寄付は、少額からでも始めることができます。あなたの想いの強さが、未来を動かす力となります。
終活ノートにあなたの希望を書き留め、遺贈寄付という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくは「遺産寄付はじめてガイド」をご覧ください。
終活ノート(エンディングノート)に関するよくある質問
終活ノート(エンディングノート)について、よくある質問と回答をまとめました。
【疑問1】終活ノートはいつから書き始めるべきですか?
A.書き始める時期に決まりはありません。終活について考えるようになったとき、書き始めてみましょう。
【疑問2】終活ノートに法的効力はあるのですか?
A.いいえ、終活ノートには法的な拘束力はありません。財産分与など、法的に有効な意思表示をしたい場合は、遺言書を作成する必要があります。
【疑問3】終活ノートはどこに保管すれば良いですか?
A.家族が見つけやすい場所に保管しましょう。金庫や貸金庫に保管する場合は、家族にそのことを伝えておくことが重要です。
【疑問4】終活ノートを家族に見せるべきですか?
A.あなたの希望に応じて構いません。ただし、家族にあなたの想いを伝えておくことは、残された家族の負担を軽減することにつながります。
【疑問5】デジタルデータはどうすれば良いですか?
A.デジタルデータは、IDやパスワード、アクセス方法などをリスト化し、終活ノートに記載するか、別の方法で家族に伝えておきましょう。
終活ノート(エンディングノート)で安心と希望に満ちた未来を描こう
終活ノート(エンディングノート)は、あなたの人生を振り返り、大切な人への想いを伝えるだけでなく、未来への希望を形にする大切なツールです。
書き終えたら家族と共有し、定期的に見直すことで、より意味のあるものになります。
特に、独身の方や子どものいない夫婦にとって、自分らしい人生の最後をどのように迎えたいか、自分の財産をどのように活かしたいか、という問いは深く心に響くものかもしれません。
この記事で紹介したように、終活ノートには、あなたの希望や想いを余すことなく書き留めてください。
そして、その延長線上に、未来への希望をつなぐ「遺贈寄付」という選択肢があることを覚えておいてください。
もし、少しでも遺贈寄付に興味があれば、「遺産寄付はじめてガイド」でより詳しい情報を確認してみてください。