「自身の財産や遺産を寄付できるならしてみたい」
「遺言による寄付(遺贈寄付)を検討してみたい」
そう思ったけど、手順や注意点など具体的なことがわからず検討が進まないと悩んでいませんか?
本記事で解決できるお悩み
- 財産や遺産を寄付する方法を知りたい。
- 財産や遺産を寄付するメリット(相続税など)や注意点を教えてほしい。
- 手続きの手順や何からはじめたらよいのか教えてほしい。
- どのような人が財産や遺産の寄付をするのか知りたい。
これらの悩みを解決するために、本記事では初心者向けにガイドしていきます。
遺産の寄付を受け入れている社会貢献団体の情報を今すぐ知りたい方は、「本サイト厳選 パンフレットが無料で取り寄せできる遺贈寄付先団体」をご覧ください。
どうすれば財産や遺産を寄付できるの?
ご自身の財産や遺産を寄付する際は、遺言によって寄付をおこなう『遺贈寄付(いぞうきふ)』を活用します。
遺贈寄付とは自身の財産や亡くなった方から引き継いだ遺産の一部、もしくは全てを遺言などによって、特定の団体に寄付することです
よって生前に遺言書に書いておけば、自分が寄付したい団体に財産や遺産を寄付することができます。
遺贈寄付は過去10年で件数・金額ともに2倍に増加
日本ファンドレイジング協会が発行する「寄付白書2021」によると、2009年時点で相続財産の寄付件数は435件、2019年では780件へ2倍に増えており、金額も同年で74億円から168億円と、成長し続けていることがわかります。
出典:寄付白書2021(発行所:日本ファンドレイジング協会)
遺贈寄付への関心は年々高まっており、相続のひとつの選択肢として定着しつつあります。
遺贈寄付のメリット3つ
遺贈寄付には、以下のようなメリットがあります。
【遺贈寄付のメリット】
- 社会貢献ができる
- おひとりさま財産の承継先になる
- 相続税の節税効果がある
メリット:社会貢献ができる
遺贈寄付は『自分が生きている間に築いた財産を社会のために役立ててもらう』方法のひとつであり、いわば人生最期の社会貢献になります。
遺贈寄付する方の多くは人生の集大成として次世代のために何かをしたいと思う人が多く、「自分の想いを未来に繋げたい」「自身や故人の想い・足跡を後世に残したい」など理由は様々ですが、個人が社会貢献しやすい方法のひとつになっています。
メリット:おひとりさま財産の承継先になる
相続人のいない「おひとりさま」の財産は、本人が亡くなったら全て国庫に帰属することになります(原則)。国庫になると財産の使途は決めれません。
遺贈寄付をすれば、自分で財産の行き先を決めることができます。自分のゆかりのある団体、関心のある分野や応援したい分野に財産を使ってもらえます。
メリット:相続税の節税効果がある
遺贈によって寄付した財産は課税対象に含まれないので、相続税を抑える効果があります。
● 遺言による寄付:遺贈した財産は相続税の課税対象ではない
● 相続財産からの寄付:寄付した財産は相続税の課税対象としない特例(ただし、公益目的事業を行う法人等への寄付のみ)
遺贈寄付の注意点3つ
遺贈寄付を検討するにあたり、以下を注意しましょう。
【遺贈寄付の注意点】
- 包括遺贈の場合は、必ず事前に寄付先へ相談する
- 寄付が非課税になる団体を選ぶ
- 寄付先に受け取り可否を確認してから手続きする
注意点:包括遺贈の場合は、事前に寄付先へ相談する
遺言による寄付で『包括遺贈』をお考えの方は、必ず事前に寄付先へ相談するようにしましょう。
なぜなら包括遺贈にした場合、借金などマイナスの財産があれば、寄付先は負債も引き継ぐことになってしまうからです。
なお、相談するタイミングは遺言作成前がおススメです。
注意点:なるべく寄付が非課税になる団体を選ぶ
相続税の節税メリットを受けたい場合には、国、地方公共団体、特定の公益法人(独立行政法人、社会福祉法人など)、認定NPO法人に寄付する必要があります。
それ以外の法人に寄付した場合は、課税対象となりますので注意しましょう。
注意点:寄付先に受け取り可否を確認してから手続きする
寄付は本来、本人の意思でできます。しかし遺贈寄付の場合には、事前に寄付先に受け取ってもらえるか確認しましょう。
なぜなら寄付先は、どんな財産でも受け取れるわけではありません。
寄付先によっては不動産などは受け取ってもらえない可能性もあるため、必ず事前に確認が必要です。
遺贈寄付を進めるために、抑えておきたい3ステップ
遺贈寄付をする場合に、必ず抑えておきたい3ステップを紹介します。
ステップ1:遺贈寄付を受け入れている団体の情報収集をする
まず最初にやるべきことは、自分の興味ある団体や分野の情報収集を沢山することです。
一番よいのは、気になる団体のイベントやボランティアに参加するなど直接体験して、その団体を見極めること。
ただ、手間暇もかかりますし、体力的に厳しい方もいますので、団体のホームページを見るとか、問い合わせして活動報告書やパンフレットを取り寄せることをオススメします。
最近は遺贈寄付専用のパンフレットを用意している団体が増えてきています。
そのせいか、年配の方でもホームページから取り寄せする方も多く、自宅に居ながら情報収集できる手段として重宝されています。
パンフレットには、各団体の理念や活動内容、寄付の使い道や税金の仕組みまで、遺贈寄付の情報が網羅的に解説されています。団体が実際に発行しているパンフレットの一例を紹介します。
□ 事例(遺贈寄付した方の物語)
□ 遺言書の作成例、遺贈に関するよくある質問
出典:特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan) 公式パンフレットより
ステップ2:寄付先を決める
遺贈寄付では主に、非営利団体か自治体を選んで寄付する方が多いです。
寄付先を決める際に、『原体験』や『職業』『ゆかりのある土地』など、自身の人生との関係性で決めるケースが多いです。若い頃に苦労したことや嬉しかったこと、そしてお世話になった地域など。
取り寄せたパンフレットを見て、団体が大切にしていることを理解しながら「確かにそのとおりだ」と思ったらきっとその団体との相性がよく、逆に「いや、そこじゃないんだよね」と感じたら違う団体を選ぶなど、相性も大事にして寄付先を決めてみてください。
ステップ3:遺言執行者を決めて遺言書を作成する
遺言の内容を実現するために、遺言執行者を決めておく必要があります。
遺言執行者は相続人から選んでもかまいませんが、中立的な立場の専門家に依頼するのが安心です。
遺言書は法律で定められた方式どおりに作らなければ無効になってしまうため注意しましょう。
主に利用されているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。いずれかを選んで、遺言書を作成します。
なお、遺贈寄付を受け入れしている団体の遺贈寄付専用パンフレットには、遺言書の作成例を紹介しているケースが多くあります。
非常に参考になりますので、パンフレットを取り寄せて遺言書作成の参考にしてみるとよいですよ。
遺贈寄付を決めた、ある夫婦のエピソード
遺贈寄付をした人の事例として、齋藤先生がサポートして遺贈寄付を決めた都内在住の山本(仮名)さん夫妻の、遺贈に込めた思いを紹介します。
山本さん夫妻は戦後生まれの70代で、子供はいません。
現役時代は夫婦ともに仕事をしていましたが、特に資産家というわけではなく、どこにでも居そうな70代の夫婦という印象です。
遺言書を作成するにあたって『二人とも亡くなった後はどうするか』が決まっていませんでした。
なぜなら夫婦には家族などの「法定相続人」がいないからです。
相続人は誰もいない状態となると、夫婦の財産は全て国庫に帰属することになります。
夫婦の思いは「国庫になることが嫌というわけではないが、どうせなら財産の使い道は自分で決めたい」というものでした。
山本さんの奥さんが遺贈寄付を知ったのは、そんな時です。
そこで考えたのは、以前から関心があった保護犬や保護猫の支援に関わる団体。
ただし遺贈寄付は将来の寄付になるため、寄付先を絞り込むのは大変でした。
「10年後20年後にちゃんと活動している団体なのか?」
「そもそも信頼できる団体なのか?」
このような不安を払拭するため、様々な団体に問い合わせを行ったりパンフレットの取り寄せを行ったりして検討を進めます。そして最終的には、納得のいく寄付先を選ぶことができました。
「私たちが亡くなっても、思いや生きた証が世の中に残り続ける。そして少しでも希望を持てる未来につながるんだと思うと、モヤモヤしていたものが消えて、心残りがなくなりました」
遺贈の手続きを終えた山本さん夫妻は、明るい表情を浮かべていました。
まとめ
遺贈寄付をするには『寄付先を決定』し、『遺言書を作成する』必要があることがわかりましたでしょうか。
遺贈寄付を進める第一歩は寄付先を決めるための情報収集です。とはいえ、寄付のご経験もなかった場合に、いきなり納得して団体を選ぶことは難しい作業でしょう。
こういった課題に対し、本サイトでは特に『遺贈寄付の受け入れ実績が豊富』『寄付の使い方について明確に情報開示している』『遺贈寄付が非課税』の団体を厳選してパッケージにしています。
本記事では、パッケージ化した団体の公式パンフレットを無料で、まとめて取り寄せることができますので、ぜひご利用ください。
また、すでに遺贈寄付の条件が固まっている方や、
「国際協力」「子どもの貧困」など支援したい分野が決まっている方には、
国内最大規模のポータルサイト「遺贈寄付ガイド」であなたにぴったりの団体を探してみてください。
<記事監修>
一般社団法人 全国レガシーギフト協会 理事/遺贈寄附推進機構 株式会社 代表取締役
信託銀行の本部にて、全国の営業店から1500件以上の相続トラブルと10,000件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げ(後の全国レガシーギフト協会)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。