「遺贈寄付を考え始めたけれど、実際のところどうなんだろう?」
「遺贈寄付を決めたら、家族はどんな反応をするだろう?」
この記事では、日本における遺贈寄付の現状や社会的な意義についてお伝えします。
遺贈寄付についてはじめて検討されている方も、知識がすでにある方も、
この記事が、社会的な価値について考えを深めるきっかけとなれば幸いです。
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日本における遺贈寄付の現状
日本では、65歳以上の人口は増え続けています。これに伴い、相続財産にかかる税金も毎年増えており、2022年度の相続財産総額は20.7兆円、相続税額は2.9兆円と過去最高を記録しました。
こうした背景の中、相続に関する新しい動きとして、遺贈寄付が注目されています。故人から相続した財産を寄付するケースは増加傾向にあり、60代から70代の約4分の1が遺贈寄付に興味を持っていることが報告されています。
遺贈寄付が増えている背景には、独身だったり、子どもがいない人が増えていることがあげられます。こうした人の多くは自らの資産を積極的に相続する相手がいないため、社会貢献に活用してもらうことを意識するようです。
また、東日本大震災や新型コロナウイルスの影響で、財産を社会に役立てたいという意識が高まっていることも、寄付への関心を押し上げていると考えられます。
遺贈寄付が日本の未来を変える
遺贈寄付は、日本の未来に大きな変革をもたらす可能性があります。遺贈寄付がよりよい未来のために重要な役割を果たすと期待されている3つの理由を解説します。
ポイント①解決すべき社会課題が増えている
現代の日本は、様々な社会課題に直面しています。例えば、
- 子どもの貧困:経済的困難を抱える家庭が増え、教育や生活における格差が広がっています。
- 災害の激甚化:地球温暖化による自然災害の頻度と規模が増し、災害対応や復興支援がますます重要になっています。
- 環境問題:気候変動や資源の枯渇が深刻化し、持続可能な社会への転換が求められています。
- 都市への一極集中/地方の過疎化:都市部への人口集中により地方が衰退し、地域社会の維持が困難になっています。
- 情報リテラシーの格差:デジタル化の進展に伴い、情報にアクセスできる人とできない人との間に格差が生じています。
- 生産性の低迷:経済成長の停滞とともに、日本の労働生産性が他国に比べて低い状態が続いています。
- ジェンダー平等:男女間の賃金格差や労働機会の不均衡が依然として解決されておらず、平等な社会の実現が課題です。
これらの問題を解決するためには、個人や企業、地域の協力が必要であり、遺贈寄付も社会問題に取り組むための資金源として重要な役割を果たすことが期待されています。
ポイント②60代以上の世代でお金が循環している
日本では、60代以上が大きな資産を保有しており、この世代内でお金が循環している傾向が見られます。
少子高齢化の影響で、相続や生前贈与が60代以上の世代内で頻繁に行われ、資産が親世代から、すでに60代の子どもたちに移行していることが理由のひとつです。こうした相続は「老老相続」と呼ばれます。以前から存在していましたが、高齢化に伴い増加しており、現在は相続の半数以上が「老老相続」であるといわれています。
「老老相続」は、高齢者同士で財産が受け継がれることで、若い世代に資産がなかなか渡らない現象を生み出します。これにより、社会全体での資産の再分配や有効な活用が進みにくくなっています。そこで、遺産の一部を遺贈寄付として社会に還元することが、次の世代にとって大切な意味を持ちます。
ポイント③相続によって地方から大都市圏への資金移動が加速している
近年、相続による地方から大都市圏への資産移動が加速しています。その背景には、親と子どもの同居率の低下が影響しています。例えば、65歳以上の高齢者のうち、子どもが同じ市区町村ではなく離れた場所で暮らすケースは、2010年から2022年にかけて、約50%増加しています。
より良い生活環境や雇用機会、子どもの教育環境を求めて都市部に移住する人が増えていることが理由です。さらに、資産承継や親の老後の世話に対する価値観も変化しており、「子どもが親と同居するのが当然」という考え方が薄れてきています。
地方に蓄積された資産が大都市圏に流出するこのような現象は今後も続くと考えられます。この資産移動は、地方経済の衰退と都市への集中を一層進める要因となりえます。財産の一部を、遺贈寄付として生まれ育った故郷とゆかりのある団体に寄付することは、こうした問題を見過ごさないためにも重要です。
まとめ:遺贈寄付を考えてみませんか?
この記事では、遺贈寄付とその社会的意義についてお伝えしました。
①遺贈寄付への注目は増加しており、70代の4割以上が検討しているメジャーな選択である
②遺贈寄付は、解決すべき社会課題が増加している日本において社会的に大きな意義がある
③遺贈寄付は、世代間・都市間の資金の動きを硬直させないためにも重要である
いかがでしたでしょうか。
人生の最期のお金の使い道を丁寧に、あなたらしく、社会のために使うことを検討するきっかけとなれば幸いです。はじめの一歩として、厳しい国の審査をクリアしたおすすめの団体のパンフレットを取り寄せてみませんか?
<記事監修>
一般社団法人 全国レガシーギフト協会 理事/遺贈寄附推進機構 株式会社 代表取締役
信託銀行の本部にて、全国の営業店から1500件以上の相続トラブルと10,000件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げ(後の全国レガシーギフト協会)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。