「おひとりさまの終活では何をしたらいいのだろう?」
このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。高齢で家族・親族がいない、もしくは家族・親族はいるものの別居している、といったおひとりさまの方々もいるかと思います。
終活は必ずしも行う必要はありません。しかし終活を行うことで、人生の終わりをより良いものにしやすくなります。
おひとりさまの終活について、本記事では下記の内容を紹介します。
- おひとりさまの終活の必要性
- おひとりさまの終活でチェックしたいポイント
- おひとりさまの終活に関する疑問
終活に取り組んで将来の不安を解消したいと考えている方はぜひ最後までご一読ください。
なお「おひとりさまの終活で押さえるべきポイントを知りたい」という方は下記をご覧ください。(ページ内の該当する見出しに移動します)
おひとりさまの終活は必要?
おひとりさまの終活は、誰もが取り組むべきものというわけではありません。
ただし、「孤独死を防ぎたい」「葬儀や遺品を希望通りに処理したい」という方は終活がおすすめです。
終活の意味や注目される背景、終活しなかった場合のリスクについて紹介します。
そもそも終活とは?
終活とは「人生の終わりに向けて準備する活動」のことです。具体的には身の回りの整理、葬儀や墓の準備、財産相続のプランニングなどが挙げられます。
現代では高齢化社会の進行によって「老い」への関心が高まるとともに、単身高齢者の孤独死や相続トラブルといった社会問題も増えています。
その対策として社会に浸透しつつあるのが終活です。では、実際におひとりさまの孤独死はどのような現状にあるのか解説します。
孤独死とおひとりさまの現状は?
下記の平成30年の内閣府の調査によると、60歳以上の男女の約3分の1が孤独死を身近な問題として「まあ感じる」「とても感じる」と答えています。
一人暮らしではその割合は約半数にのぼります。
東京23区内における、一人暮らしで孤独死と考えられる65歳以上の死亡者数も年々増えています。
下記の内閣府の調査によると、令和元年には東京23区内で3,936人の一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなっています。
このことから、孤独死はとても身近な問題になりつつあることがわかります。
次は、終活をせず自宅で孤独死してしまった場合どのような問題があるのか解説します。
おひとりさまが終活しないと発生するリスクは?
おひとりさまが終活しなかった場合、以下のリスクが発生する可能性があります。
- 孤独死して誰にも気づいてもらえない
- 財産の相続が自分の希望と異なったものになってしまう
- 自分の死亡、または認知機能の低下によって親族や家主など周囲の人に迷惑をかけてしまう
孤独死を避けるためには、社会から孤立しないようにすることが重要です。
具体的には以下のような対策が考えられます。
- 宅配サービスや訪問看護などの訪問サービスを利用する
- 遠隔地に住む親族に安否を伝えられる見守り家電を利用する
- 地域イベントなどに参加して地域の人たちと関わりを持つ
財産の相続については法的効力のある遺言書を作成することで、自分の希望通りに相続を進めることが可能です。
遺言書についてはこちらをご覧ください。(ページ内の該当する見出しに移動します)
周囲の人に迷惑をかけないようにするためには、エンディングノートの作成などによって元気なうちから自分の希望を第三者に伝えられるようにしておく方法があります。
おひとりさまの終活でチェックしたい5つのポイント
おひとりさまの終活でチェックしておきたい5つのポイントを紹介します。
手軽に始められるものから法的な手続きまで紹介しているので、終活の具体的な方法が気になる方はぜひご覧ください。
- エンディングノートを作成する
- 死後事務委任契約を結ぶ
- 任意後見契約を結ぶ
- 財産管理等委任契約を結ぶ
- 遺言書を作成する
今すぐ終活に取り組むなら、まずは「エンディングノートの作成」がおすすめです。
1.エンディングノートを作成する
エンディングノートとは、自分に関する情報や意思を書き記しておくノートです。
自分自身の個人情報や緊急連絡先のほか、医療や介護に関する情報、葬儀やペットの世話などについて自分の希望を記載しておきます。
決まった形式はないので、ノートが一冊あればすぐに始められます。
市販のエンディングノートを使用したり、ワードやパソコンのメモ帳といったデジタルツールで作成しても問題ありません。
元気なうちに準備をしておくことで、自分に何かあったときに第三者に自分の希望をスムーズに伝えられることが大きな利点です。
ただし、エンディングノートは遺言書と違って法的効力を持ちません。強制力のあるメッセージを遺すなら遺言書を作成するのがおすすめです。
遺言書についてはこちらをご覧ください。(ページ内の該当する見出しに移動します)
2.死後事務委任契約を結ぶ
死後事務委任契約とは、自分の死後に発生する様々な事務手続きを生前に依頼しておく制度です。
死後事務と呼ばれる以下の手続きを第三者に委任することができます。
(例)
- 通夜や葬儀、埋葬
- 入院していた病院や介護施設の費用の支払い
- 公共料金やカード会社などの解約
- 自宅や介護施設の片づけ
死後事務は親族が行うケースがほとんどです。しかし親族に迷惑をかけたくない、あるいは周りに頼れる親族がいないおひとりさまには検討する価値のある終活の一つです。
親族以外には司法書士などの専門家に依頼します。その場合は一定の費用が必要です。
3.任意後見契約を結ぶ
任意後見契約とは、自分の判断能力がはっきりしているうちに財産管理や介護療養に関する手続きを代行する後見人を選び契約しておく制度です。
任意後見契約を結ぶことで、認知症などによって判断能力が低下した際に銀行手続きや年金・保険の手続きを代行してもらったり、施設や病院に入る際の身元引受人になってもらうことができます。
任意後見制度は成年後見制度の1つで、他に法定後見制度があります。法定後見制度は、本人の判断能力が低下した後に周囲の人が裁判所に申し立てを行い後見人を選ぶ制度です。
いずれも利用者は増加傾向にあります。
任意後見契約は判断能力が落ちてからでは利用できません。自分の希望を伝えるためにも元気な今のうちから準備しておくのがおすすめです。
4.財産管理等委任契約を結ぶ
財産管理等委任契約とは、体調不良や老化などの理由で財産を自己管理できなくなった場合などに財産管理を第三者に代行してもらうための制度です。
任意後見契約などの成年後見制度が本人の判断能力の低下がなければ認められないのに対し、財産管理等委任契約は利用するための要件は特にありません。
そのため、判断能力が低下する前から財産管理を誰かに委任したい場合に活用できます。
ただし、公正証書の作成や後見登記といった手続きを行わないため社会的信用が低かったり、成年後見制度に認められている「取消権」がないといったデメリットもあります。
5.遺言書を作成する
遺言書を作成するメリットは、自分の財産を相続する人を自分で選ぶことができることです。
人が亡くなった場合、その財産は民法で定められた法定相続人が相続することになります。
法定相続人とは、具体的には配偶者や子ども、兄弟姉妹とその子どもなどです。法定相続人がいなければ財産は国庫に入ります。
おひとりさまで相続先が決まっていない方の中には、下記のような想いをもった方もいらっしゃると思います。
- 家族や親族以外の相続先を検討したい
- 自分の財産が国のものになることに違和感がある
このような想いを持った方の中には、自分が応援したい分野で支援活動を行っているNPOなどの団体に、「遺言書による寄付(遺贈寄付)」を行う方もいらっしゃいます。
「遺贈とはそもそも何か?」「どのような人が遺贈寄付を選択しているのか」などは下記記事で解説しています。
おひとりさまの終活に関するよくある3つの疑問
おひとりさまの終活に関する3つの疑問を紹介します。
- 女性の一人暮らしでも終活はした方が良い?
- 終活準備は何から始めたら良い?
- 終活に必要な費用は?
【疑問1】女性の一人暮らしでも終活はした方が良い?
終活は強制されるものではありません。もし、終活しようか気になっているのであればできるところから始めてみてはいかがでしょうか。
終活でチェックしたいポイントは男女で大きな差はありません。終活を進めておくことで自分にもしものことがあった時にも自分の希望を叶えてもらいやすくなります。
【疑問2】終活準備は何から始めたら良い?
終活に決まりはありません。まずは無料でできることから始めてみてはいかがでしょうか。
エンディングノートの作成はノートが1冊あれば始められます。パソコンやスマホに普段から触れる機会があるならワードやメモ帳を活用するのもおすすめです。
自治体などが開催する無料相談会に参加する、という選択肢もあります。
【疑問3】終活に必要な費用は?
終活は一般的に数十万円から、場合によっては数百万円が必要です。
例えば、墓や葬儀にかかる費用は地域や葬儀会社、利用するサービスによって変わります。
死後事務委任契約や任意後見契約を利用するかどうかによっても、終活にかかる総額は変動します。
終活を進めるにあたっては、どこまでお金をかけるのかある程度決めておくのも1つの方法です。
終活は早めの準備が大切
おひとりさまの終活について解説しました。紹介した内容をまとめます。
- おひとりさまが終活することで、孤独死を防止したり自分の葬儀や財産について希望を伝えることができる
- 死後事務委任契約や任意後見契約などの制度を活用することで、おひとりさまでも財産の管理を信頼できる第三者に委任することができる
- おひとりさまの遺産は何もしなければ国庫に入ってしまうので、非営利団体に寄付する「遺贈」もおすすめ
終活は自分にもしものことがあったときの備えです。そのため、元気なうちにスタートするに越したことはありません。
終活が気になるという方は、できることからスタートしてみてはいかがでしょうか。
おひとりさまで「終活を始めよう」と思ったときにチェックしたいポイントはこちらからご確認ください。(ページ内の該当する見出しに移動します)