仕事や子育てに忙しい毎日のなかで、将来のことを考える余裕はない…と感じている方もいるのではないでしょうか。40代は人生の折り返し地点とも言われるため、そろそろ将来設計を見直すタイミングです。
終活は、将来への不安を解消し、これからどう生きていきたいかを考えるポジティブな行動。
40代からの終活は、早すぎるということはありません。早いうちから準備を始めることで、心にゆとりが生まれ、より充実した日々を送ることができるのです。
この記事では、40代のための終活・断捨離の始め方や断捨離のコツについて解説します。
- 1 40代が終活を始めるべき3つの理由
- 2 40代からの終活は何から始めたら良い?断捨離のすすめ
- 3 断捨離をスムーズに進めるための3つのコツ
- 4 断捨離と並行して進めるべき40代終活のステップ
- 5 40代が終活するにあたってよくある質問
- 5.1 【疑問1】終活はいつから始めるべきですか?
- 5.2 【疑問2】エンディングノートと遺言書の違いは何ですか?
- 5.3 【疑問3】断捨離でどうしても捨てられない場合はどうすれば良いですか?
- 5.4 【疑問4】デジタル終活は何をすれば良いですか?
- 5.5 【疑問5】終活にかかる費用はどのくらいですか?
- 5.6 【疑問6】終活を始めるにあたって、家族に相談する必要はありますか?
- 5.7 【疑問7】終活で困ったときはどこに相談すれば良いですか?
- 5.8 【疑問8】遺贈寄付とは何ですか?
- 5.9 【疑問9】遺贈寄付にはどのような種類がありますか?
- 5.10 【疑問10】遺贈寄付の手続きはどのようにすれば良いですか?
- 5.11 【疑問11】遺贈寄付をする際に注意すべき点はありますか?
- 5.12 【疑問12】遺贈寄付の相談はどこにすれば良いですか?
- 5.13 【疑問13】少額でも遺贈寄付はできますか?
- 5.14 【疑問14】遺贈寄付は相続税対策になりますか?
- 6 40代からの終活は人生を豊かにする
40代が終活を始めるべき3つの理由
40代で終活を始めるのは早いと思う方もいるかもしれませんが、事前に行っておくことは様々なメリットがあります。
まずは、40代が終活を始めるべき3つの理由を紹介します。
理由①:体力と判断力が充実している今が最適
エンディングノートや遺言書の作成、財産整理などは時間と労力を要します。
40代はまだ体力と判断力に余裕があるため、高齢になってから慌てるよりスムーズに進められます。
理由②:想定外の事態への備え
病気や事故など、人生には予期せぬ出来事が起こり得ます。
40代で終活を始めることで、万が一の事態に備え、自分自身や家族を守ることができます。また、両親の介護が必要になるケースも想定し、準備を始める良いタイミングです。
理由③:より充実した人生を送るために
終活は人生の終わりではなく、残りの人生を豊かに送るための第一歩です。
40代からの終活は安心と充実した未来への投資とも言え、今始めればより穏やかで希望に満ちた人生を送れるでしょう。
40代からの終活は何から始めたら良い?断捨離のすすめ
40代の終活として、まずは断捨離から挑戦することがおすすめです。
断捨離は単なる片付けではありません。
不要な物を手放すことで物理的な空間だけでなく、心にもゆとりが生まれ、より充実した人生を送るための基盤作りにもつながります。
例えば、仕事で使う資料や書籍、資格取得のための教材など、今後のキャリアプランに不要な物は思い切って処分しましょう。デジタル化できる物はスキャンして保存し、ペーパーレス化を進めるのもおすすめです。
また、子どもが成長するにつれて使わなくなったおもちゃや衣類、育児グッズなどを整理しましょう。思い出の品は写真に撮ったり、一部だけを残したりなど、工夫しながら整理を進めてください。
多忙な日々のなかで、なかなか時間を割けなくなってしまった趣味の道具も整理してみましょう。本当に必要な物だけを残し、スペースを有効活用することで、新たな趣味に挑戦する余裕も生まれます。
エンディングノートや遺言書の作成などの大きな作業の前に、まずは身の回りを整理整頓することで、気持ちも軽くなり、ほかの終活にも取り組みやすくなります。
断捨離をスムーズに進めるための3つのコツ
断捨離をスムーズに進めるためには、いくつかのコツがあります。
①捨てる基準を明確にする
断捨離で一番悩むのが「捨てるか残すか」の判断です。
「1年以上使っていない物」「今後使う予定がない物」「同じような物が複数ある物」などを基準に、不要な物をリストアップしましょう。
また、40代の断捨離では「今後のキャリアプランに必要か」「家族のライフステージの変化に対応できるか」といった視点も取り入れてみてください。
例えば、子どもが独立する予定があれば、子ども部屋の家具を処分する計画を立て始めるのも良いでしょう。
②捨てる、残す、しまう を徹底
不要な物を処分したら、残す物は適切な場所に収納し、収納スペースに合わせて必要最小限の物で暮らすことを意識しましょう。
デジタル化できる書類は積極的にデジタル化し、かさばりやすい紙の書類を減らすのも有効です。
③家族とのコミュニケーションを大切にする
断捨離は、自分だけのことではありません。特に、家族がいる場合は、家族の意見を聞き入れながら進めることが大切です。
思い出の品や、家族にとって大切な物など、自分だけでは判断できない物もあるでしょう。家族と話し合い、共通の理解を得ることで、円滑な断捨離を進められます。
断捨離と並行して進めるべき40代終活のステップ
40代は、人生の後半をどう生きるかを考え、準備を始める重要な時期です。
断捨離で物理的な整理を進めながら、並行して終活にも取り組むことで、よりスムーズに、かつ効果的に人生設計を進めることができます。
この章では、40代が重点的に取り組むべき終活のステップを、具体的に解説します。
エンディングノートを作る
エンディングノートは、あなたの想いや希望を伝えるための大切なツールです。法的拘束力はありませんが、残された家族や親族、知人などがあなたの意思を理解するうえで大きな助けとなります。
記載事項の例は、以下の通りです。
- 自分の経歴、家族へのメッセージ
- 葬儀やお墓に関する希望
- 医療・介護に関する希望
- デジタルアカウント情報、パスワード
- ペットの飼育に関する希望
- 連絡を取り続けてほしい人
- 大切な物の保管場所、処分方法
- 加入している保険、年金情報
エンディングノートは専用のノートを購入して作成するほか、パソコンやスマートフォンで作成することも可能です。作成後は定期的に見直し、そのときの気持ちの変化に合わせて更新していくことが大切です。
また、40代ではまだ具体的な内容が浮かばないこともあるため、エンディングノートは完成品を目指す必要はありません。
まずは「どんな人生を送りたいか」「将来の夢や目標は何か」といった、漠然とした想いを書き出してみましょう。
関連記事:終活ノート完全ガイド!書き方から選び方、デジタル終活まで徹底解説
遺言書を作成する
遺言書は、あなたの財産を誰にどのように分配するかを指定する、法的な効力を持つ文書です。
事前に作成しておくことで、相続トラブルを未然に防ぎ、あなたの意思に沿った相続を実現できます。作成する際は、士業などの専門家に相談することも有効です。
健康に関する準備
40代は、健康面での変化に気付き始める時期でもあります。
まずは、定期的な健康診断を受けることを心がけましょう。早期発見・早期治療は、健康を維持するうえで不可欠です。
食生活や運動習慣、睡眠時間などの生活習慣を見直し、改善できる点があれば積極的に取り組みましょう。バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠は、健康維持の基本です。
また、介護保険制度についても知っておきましょう。介護が必要になった場合に備え、どのようなサービスがあるのか、利用方法などを理解しておくことは大切です。
さらに、両親の介護が必要になる可能性も考慮して、健康状態を把握し、介護が必要になった場合の対応について家族で話し合っておくことが重要です。
葬儀に関する準備
40代では、自身の葬儀はまだ先のことと考えて後回しにしがちです。しかし、自分の希望を整理しておくことで、家族や親族、知人の負担を軽減することができます。
どのような葬儀にしたいか、インターネットや書籍などで情報を収集し、自分に合った葬儀の形を考えてみましょう。
葬儀に関する希望をエンディングノートに書き留めておくのもおすすめです。希望する葬儀の形式から始め、最終的に参列者へのメッセージや戒名、埋葬方法など、具体的に記しておくことで、家族があなたの意思を尊重した葬儀を執り行うことができます。
また、葬儀には費用がかかります。事前に費用について調べ、必要に応じて葬儀保険への加入などを検討しましょう。
デジタルデータの整理
現代社会では、デジタルデータが私たちの生活に欠かせない物となっていますが、整理する時間がなかなか取れず、昔使用していた物がそのまま放置されていることもあります。
そのため、まずはパソコンやスマートフォン内の不要なファイルやデータを仕分けし、必要な物はバックアップを取り、クラウドサービスなどを活用して整理しましょう。
また、不要なアプリやアカウントは削除し、必要な物は一度パスワード管理について見直すのもおすすめです。
複数のサービスのパスワードを管理するのは困難なため、パスワード管理ツールなどを活用して、安全に管理しましょう。
財産管理
40代は、仕事が安定し収入も増加する一方、住宅ローンや教育費など、支出も増える時期です。財産管理をしっかり行うことで、将来への不安を軽減し、家族への負担を減らすことができます。
まず、銀行口座や預金、投資信託、不動産、生命保険など、保有する資産をリスト化し、その内容をしっかりと把握しておきましょう。使っていない銀行口座やクレジットカードがあれば解約するなど、整理整頓も重要です。
次に、将来の目標を明確にしましょう。住宅購入や教育資金、老後資金など、これらの目標達成に向けて、具体的な資産運用計画を立てることが重要です。
計画を立てる際には、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのも有効な手段です。
また、生命保険の内容が現在のライフステージや家族構成に合った保障内容になっているかを確認しましょう。見直すことで今までの保険料より安くなる場合があります。
住宅ローンを組んでいる場合は、繰り上げ返済による金利負担の軽減なども考慮したうえで、金利タイプや返済期間の見直しをして最適な返済計画を立てましょう。
遺贈寄付という選択肢
40代になり、人生の終焉について考えるなかで、自身の財産をどのように未来につないでいくかを検討する方もいるでしょう。
特に、子どもがいない夫婦や独身の方など、法定相続人がいない方の場合、その財産は国庫に帰属します。
「遺贈寄付」とは、亡くなった後に財産の一部または全部を、特定の団体(個人)に寄付することです。
遺言書で自分が大切に思ってきた価値観や理念を反映した寄付先を選ぶことで、自分の財産の使い方を選べるうえ、その活動に貢献できるという大きなメリットがあります。
「でも、遺贈寄付って具体的にどうすれば良いの?」「どんな団体に寄付できるの?」「手続きは難しくない?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
もっと詳しく遺贈寄付について知りたい方は、「遺産寄付はじめてガイド」をご覧ください。
遺贈寄付の仕組みや手続き、注意点など、役立つ情報が満載です。
40代が終活するにあたってよくある質問
続いては、終活にまつわるよくある疑問にお答えします。
【疑問1】終活はいつから始めるべきですか?
A.終活に「早すぎる」はありません。40代から始めることで、体力・判断力のあるうちに準備を進められ、精神的な余裕も生まれます。将来設計を見直す良い機会にもなります。
【疑問2】エンディングノートと遺言書の違いは何ですか?
A.エンディングノートは法的拘束力のない、自分が生きてきた歴史や亡くなった後の希望を記すノートです。一方、遺言書は法的拘束力があり、財産分与などの指示を書き残せるといった違いがあります。両方を活用することで、よりスムーズな相続を実現できます。
【疑問3】断捨離でどうしても捨てられない場合はどうすれば良いですか?
A.写真を撮ってデジタルデータとして保存したり、レンタルスペースを利用するのも一つの方法です。どうしても必要な物か、本当に手放せないのか、時間をかけてじっくり考えてみましょう。
【疑問4】デジタル終活は何をすれば良いですか?
A.パソコンやスマートフォンのデータ整理、オンラインアカウントの管理、パスワードの共有などが挙げられます。デジタル遺品対策として、専用のサービスを利用することも可能です。
【疑問5】終活にかかる費用はどのくらいですか?
A.行う内容によって大きく異なります。エンディングノートは無料で作成できますが、遺言書作成や専門家への相談には費用がかかります。状況に応じて、必要なサービスを選択しましょう。
【疑問6】終活を始めるにあたって、家族に相談する必要はありますか?
A.特に相続や葬儀に関する希望は、家族と事前に話し合っておくことが大切です。トラブル防止のためにも、オープンなコミュニケーションを心がけましょう。
【疑問7】終活で困ったときはどこに相談すれば良いですか?
A.行政書士や弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談できます。また、終活に関する相談窓口が設けられている自治体もあります。
【疑問8】遺贈寄付とは何ですか?
A.自分の遺贈の一部または全部を、特定の団体(個人)に無償で譲与することです。社会貢献につながるだけでなく、相続税の軽減措置を受けることも可能です。
【疑問9】遺贈寄付にはどのような種類がありますか?
A.遺贈寄付は、大きく分けて「遺言による寄付」「相続財産からの寄付」「信託・生命保険による寄付」の3種類があります。また、金額の決め方によって「特定遺贈」(寄付する財産を特定)と「包括遺贈」(財産全体の割合を指定し寄付)の2種類があります。
【疑問10】遺贈寄付の手続きはどのようにすれば良いですか?
A.遺言書に寄付の意思と寄付先を明記する方法が一般的です。公正証書遺言にすることで、より確実な寄付が実現できます。
【疑問11】遺贈寄付をする際に注意すべき点はありますか?
A.遺産の相続人がいる場合、法定相続人に最低限保証された遺産取得分である遺留分を侵害しないよう注意が必要です。また、寄付先の団体の活動内容や財務状況、受け入れ可能な財産の種類なども確認しておきましょう。
【疑問12】遺贈寄付の相談はどこにすれば良いですか?
A.寄付を受け付けている団体や、士業(司法書士、税理士)などの専門家、信託銀行などの金融機関に相談できます。
以下の「遺産寄付はじめてガイド」も合わせてご確認ください。
【疑問13】少額でも遺贈寄付はできますか?
A.金額の大小に関わらず、遺贈寄付は可能です。少額でも多くの人の想いが集まれば、大きな力になります。
【疑問14】遺贈寄付は相続税対策になりますか?
A.公益を目的とする団体への寄付は、相続税の控除対象となります。ただし、控除額には上限があるので注意が必要です。
40代からの終活は人生を豊かにする
40代からの終活は、自分の人生をより良くするための「未来への投資」です。
断捨離を通して心と空間を整理し、将来設計を明確にすることで、より充実した毎日を送れるはずです。
今回紹介した方法を参考に、自分らしい終活・断捨離を実践し、より豊かな人生を歩むための準備を始めましょう。
そして、終活を考えるなかで、自身の財産をどのように未来へつないでいきたいか、という問いが出てくるかもしれません。
特に、独身の方や子どもがいない夫婦にとって、遺贈寄付は選択肢の一つになります。
自分の大切な想いを社会貢献につなげ、未来をより良くするために役立てる。そんな遺贈寄付について、もっと詳しく知りたいという方は、ぜひ「遺産寄付はじめてガイド」をご覧ください。
未来への備えは、安心感と希望をもたらします。今始めることで、より穏やかで、より自分らしい人生を送ることができるでしょう。